サブジェクト/茶殻
思い上がれば月初め、
寝かしつけた二人の猫に
子守唄は要らない
朝の詩人と夜の詩人を繋ぐ
一条のペンのかげ
かすりもしない韻律を
丘の風に送って
レトリバーがおもちゃに飽くように
ニュースは褪せていく
戦火にあってあふれ出す血液を
数多の雨が洗い
滝壺は繰り返し受け止める
重力に根付いて
飽くなき自由への一兵卒
愛の岩肌に触れるとき
主体は目覚め
たちまち孤独は疼くだろう
揺らぐ川面の月、
点と点ははぐれにはぐれ
真円を結ぶには至らず
ただ ただただ、
丸くなる猫の胸の裡に
不完全なことばの群がりが
衛星のように揺れ
浮かびつづける
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