雨止まず/瀬崎 虎彦
 
白い雨に打たれてキミは
横断歩道に立ち止まる
奪われていく体温も
すべて時の比喩だった

ちいさい よわい やさしいものを
なんと名づけても正しくはない
キミの未来に光るものを
なんと呼ぼう…?

きれいな羽に憧れては
軽やかに走っていく
見殺しにするたくさんの
現実のはざまで

つめたい よるの むこうがわに
なんと名づけても遠い光
裸足のままで泣いている
雨止まず…

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