井戸の底へ/yamadahifumi
落ちていく 静かに
落ちていく 心静かに
魂安らぐ時もなく
僕の心は静かに静かに
ゆっくりと井戸の底へ向かって落ちていく
ああ、まるで世界が上昇してゆくようだ・・・
僕はいつも、なんにもしていない
日がな、寝っ転がって、空を見ている
そして、空と話をしている
でも、その最中でも僕は落ちていく
東では戦争があったらしい・・・
西では強姦があったらしい・・・
ああ、落ちていく、落ちていく
僕はそれでも落ちていく
どこまでもどこまでも
魂を忘れて 僕は
誰よりも深く落ちていく
そして何を失ったのかを知らないまま
井戸の底に激突して死ぬんだろう
そしてその時、奇跡が起こり
太陽の光が井戸の中に射しこむと、その時、僕の魂は始めて
むくりと起き上がって君達に会いにいく
ああ、でもその時が来るまで 僕は
「死」に向かって落下し続ける
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