スミ子さん/初代ドリンク嬢
小さなスミ子さんは
短く刈り込んだ髪で
不安気に
わたしの隣に立っていた。
「今日から働いてもらうスミ子さん。いろいろ教えてあげてね」
ナースから少し離れて
私たちは長い廊下を歩いた
何もない部屋の中
空を飛んでいたはずの魚は
窓から飛び込んできたらしい
山積みになってもう死んでいた
なぜ、
この小さな窓から
入ってきたのか
ヌメヌメした体を横たえて
どこを見ていたのか
目はギラリとしていた。
私たちを案内してきたナースは言った。
「この魚を畑に撒いて肥料にするのよ」
「今日からスミ子さんに、この仕事をしてもらいます」
そして、
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