軽い目眩とともにダンス/ゆべし
 

 紫の舌の上で踊る猫
 チープなオレンジが香るタンバリンの音
 首にパールを縫ったカラスが
 風をかみちぎるようなコーラスを添える
 酔っ払ったデブのビーバーを
 階段の手擦りへ導く薄ピンクのドレス
 モンローの笑顔で微笑んだ
 緩やかなカーブを上りつめる途中で彼が聞いた、
 鐘を乱打するようなクジラの高音パート
 膨らんだ腹を突き出してビーバーは倒れた
 口から泡を噴いてはいるが、目は溶けそうに潤んでいる
 給仕のカワウソの営業スマイルが剥がれた
 とがった犬歯がのぞく卑しい笑い顔

 その頃、ステージには毛むくじゃらの牛が乱入していた
 泣き叫ぶがごとく暴れ狂っている
 彼は女を探しているのだ
 薄ピンクのドレスがふりふりと腰布を揺らして逃げる
 色とりどりの悲鳴に包まれながら
 毛むくじゃらの牛はテーブル席へ突っ込んだ
 マリリンのヒールのかかとが取れる
 足を捻り、その場に崩れる
 振り返る
 夕日が弾けたようなシャンデリア
 続いて毛深い顔が視界を覆う



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