もっとも崇高な単純/ゆったいり
ぼくらが生まれたのが暗い色をした水の中だなんて僕は認めたくない
だいちを蹴って前に進めば
それだけ明るい色をした果実がもらえるんだと
ぼくらはいつから教えられたんだろう
水は雲になり
雲は雨になり
雨は水であり
水は氷になる
雨が嫌いなのも
氷が役に立つのも
それはにんげんの勝手だ
努力はなんのためにある?
夢をかなえるためなのか
理想に近づくためなのか
どちらも前に進むこと
どこかへ向かって走ること
ぼくらはどこに向かっているのか
君たちが走る先は桃源郷だと先生は言った
皆のために走るのだと偉い人は言った
あの人は桃源郷などなかったと言った
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