幕切れ、予感/すみたに
 


横になる太陽は、    都市の襞に刺さる蝋燭へ、
際限なく転がり続けた、  葦を掲げた手の彼方に、
なにも焼かず、 なにも踏みつぶさず、
痛む大きなリンゴの腹へと、  終わりない夕景の
訪れが描いた道化の歪んだ顔が、 銀に輝く水牛の
群れに彩られた  掌を見て笑う

ペンギンの群れが   石油で汚れた海にうじゃうじゃ
羽ばたけないがために   隕石に潰されたために
泳ぎ出すイルカがきっともう   いない
だからと言って、        セイウチは笑えない
赤い氷山は愈々大海に流れ出した海面の上で跳ねていく、
釣りあげられるように、真っ新な手に
救われるかのように
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