ブラウン管テレビ/
灰泥軽茶
雑木林に捨てられた
大きなブラウン管テレビが
ただ転がっている
近づいて中を覗くと
ガラスの外には
私の知らない家族が映っていて
こちらを何も考えずに
ぼうっと
のぼうっと眺めている
少し半笑いでお互い目も合わせず
こちらに夢中だ
じっと注がれる視線は何も語らない
ブラウン管テレビは何も語らない
私はとても寂しくなって
家にも帰れず
街の中へ逃げ込んだ
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