祝詞/HAL
 
年が明けて何かが変わるかもと
歳の数だけそう想って来たけれど
一度だってそうであったことなんてない

悲しみは悲しみのまま
しんどさはしんどさのまま
ずっと飲み込んできた酸っぱいものが
否応もなく胃からせりあがってくる

街はいつもの気怠さのなかに漂い
神社仏閣の近くはいつもひといきれと大渋滞
TVは観る価値のない中途半端な芸人ばかりの
自分勝手な顔がひきつる笑いもできない宴会芸

あちらこちらで言われる
明けましておめでとうの声も
ぬいぐるみのように中身は
目出度さの代わりのフリーターのアルバイトのよう

郵便ポストに投げ込まれているのも
印刷されたチラシ
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