去りゆくものたち、生まれくるものたち/木屋 亞万
 
ビニールの金魚
尾はヘドロと浅い海
袖で眠るヘビの嘔吐
男と来たばかりの憂鬱だけ
さよならはブリーチで染めたのに
ワイングラスの方代わりに夕暮れと鼾が
踊ろう久しぶりの密林とバカンス
秘密は虫ごと煮しめたばかり
ハイウェイを横切るノコギリの雛形を
途端に腫れた皿の隙間から銃撃
靴底に敷き詰めたミシンで城壁を
胸は萎んで眼が膨らんだ
レーズンを除くなら
いい匂いになって汚れたね
酒で濡らせば銃創は沁みる
しばらく見ない間に乾いたね
バイオリンの弦の初期微動
渇いていく喉の仏壇に
血潮はつめたく金属の装い
管内は奥へ入り込む配置
尿意はすでにできている
使い古
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