うわ言/まきしむ
 
風が吹いていて
冷たいはずなのに
なにか
痛いのは
楽しいのが
飛び出して
うわ言のように
跳ね続け

大きな原の
片隅の小さな草花を
蟻が歩き回って
厚い雲から雨が降りました

痛いのは本当でしょうか
何もないのがデフォルト
それすらもわからなくなり
落ちもくる熱い涙が
暖める受け皿は
陶製でつややか
充分な質量を持った

あなたが交わる全ての人が幸いであるように
そんな欺瞞を抱えずに歩いてゆけるように
穴ぼこに投げ入れる燃料が
空であったら
可能性は、あります

灰色に染まる駅ですれ違う
無数の人びとが
永遠の一瞬で
幸いであるように

弔いの打音が
こつこつと
向こうの山から
返ってきて
何もない私は
やはり何もなく
ゴム製のグラウンドを
いつまでも駆けている
そんな按配で

いま、胎児のかっこうで
手足をまるめ
再び眠りに落ちます
目をさます時
写るのは何色の空でしょうか

天下一武道会に、出たかった
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