ティーカップ/和田カマリ
 
濯機の前にいたんだ

シャブをばっちり決めた俺は
中に入りたくてしかたなかった
フタを開け片足ずつ突っ込んで
そのまま体育すわりをした

すうっと手を伸ばして
スタートのスイッチを押したら
ザーと水が出てきて
キシィーキシィー
右に左にちょっとずつ動き出した
・・・・・

「お前の母親は、一番しんどい時に逃げ出した。」
遊園地のティーカップの中で親戚のおばさんが言った
「弟だけが悪いんやない、あの女の所帯が粗すぎたんや。」
おばさんは続けた
「お前は渡さへん、うちら側の男やからな。」

優しげな曲に合わせて
ティーカップが滑るように動き始めた
だけどおば
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