コールドプレイ /和田カマリ
わたしの彼氏は
中部大会で入賞した事もある
腕利きのバーテンダー
だけど全然気取らないで
お客とワイワイやっている
彼の初めてのキャリアは
氷屋さんだったそうで
そのせいか氷を成形するのが
無茶苦茶にうまい
塊を手のひらに受けて
アイスピックで丸くして
グラスの中に投げ入れると
それはまるで
ルームライトに照らされて
妖しくたゆたうマリモみたいだった
サービス過剰な彼
ただ丸くするだけじゃ物足りなくなって
色色なものを彫刻するようになった
たとえば
氷のペニス
もう笑うしかなかった
ある夏の夜
お店のエアコンが馬鹿になった
暑くって暑く
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