おおきな樽の小部屋にて/すみたに
街、都市計画は百年たってもまだつづく
しずみこんだ街の青い静脈で
渋滞しはじめた一台一台
濡れた車体はガス漏らし震える
なりをひそめたクラクション
ワイパーは腕振り回し
ブレーキランプは赤いまま
前後挟まれた 一台は一台一台に
信号は変わらない 変わっても進まない
それでも待っているだけなのか
けれど待っているのはわたしでなくてあなた
わたしは大切なあなたと約束していたのだ
いらだちまぎれに
ラジオチャンネルをがちゃがちゃ回す
その時
――……爆破事故に……立入禁止……通行止と
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