海の底に沈んでるご馳走を食べに行きたくって。/かのこ
えるの。
未だ、生きているうちに飽食を食い尽くす。人間辞めたい。自分を辞めたい。
枯れた向日葵みたいな、こんな手のひらは要らない。この細い細い腕が、木の枝だったらいい。
お尻が金魚の尾びれになったらいい。服は洗濯の手間がかかるので要らない。鱗でいい。
こんな繊細で精巧にできた感覚器も、神経も、ああ、憎き脳内物質よ、怨めしや。
これは取って置いて、海の底の肥やしにしたらいい。プランクトンに食い尽くされるまで。
口の要らない生物で、
正しい判断を下せる判断力だけ、
今までひた隠し、この皮膚の下で培ってきた自分は、最高に醜い。馬鹿で、無様で、それでいて見栄っ張りで貪欲で傲慢で。
我慢のやり方がわからない。休憩のやり方もわからない、労働も、交際も、この部屋での泳ぎ方も、やっぱりわからない。
なんだか・・・ああ、変な音が聞こえるんだ。
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