いちゃもん/三田九郎
 
日の出前
生命以前の静寂
ただ刻々
事実だけが降り積もり
上滑りしていく感情
淀んだ意識のまま
時間をやりくりし
このような自分だ
と凝視する朝
いちゃもんを
自分で自分に
つけたってしかたない
鏡の前のこんな男
に踊らされないよう、そっと
押入れにしまった
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