抒情詩の命令/すみたに
可憐なる小さき歌よ
わが喜びのあかしよ。
あわれ、今日このごろの春の時
行きては帰ることあらじ。
わが歌よ、なれを歌いきかせし
戯れの友もやがて去り行かん。
あわれ、わが心もやがて
恋しき人のために泣かん。
されど別れの悲しみの後、
かの人の目、なれに注がれなば、
かの人も過ぎし日の喜びを思わん、
我らを結びよみがえらせし日の喜びを。
-An meine Lieder, J.v.Goethe(『ゲーテ詩集』(2010)高橋健二訳)
恋人を歌い、恋人を歌うからこそ、その歌は恋人となる。
だからゲーテは歌に
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