やさしいうた/木屋 亞万
じゅういち時 しめきったへや しめったかみ しんしんと陽ざし
つめたいはずの風 さびしげにまどをたたく
あるくひとはこごえて かれはがころがるほどう
空にてんてん くもはこまかい
ガラスごしにみるせかいはとてもやさしい
このへやごと ちがうきせつに身をおいて
ふゆではないどこかへと とじていく
のぞき窓ごしのせかいは しんしんとしずかだ
きりとればかがやき じんわりといろがやきつく
ぱしり ぱしりと かわけば やきつく
もうまくに もうどうしようもない あきのきらめき
かげってはてり かくれてはのぞく たい陽
だれもいないにわに やさしいうたがふりそそぐ
風のきれまにこっそりと だれかがうたうこえがする
まほうのかかった ぴあのにのせて
しぬならいまだと あくまがうたう
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