1年/うんち
 
はじめまして、と言って、町に住み始めたね。
日々、白い顔をした町を刻んでいくと、
黄やピンクや赤が顔を出してきて、
それとなく、そのまま、口にして、飲み込んで、喜んでいたね。
この町にどんな食べ物屋が営んでるか、もうだいたい分ったね。
この町は静かにしゃべる町だね。

わたしが、いま、気付くこと。本を読んでから気付いたね。
昨日、本を読んだら、
本に書いてはいなかったけれども、
「思い出にしるしを付けておきなさい」と、言っている気がした。

同じ部屋で眠るようになってから、もう一年が経ったね。
もう?まだと言うべきかな。まだまだ始まったばかりだから。
わたしたち、昔話を
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