色殺/村正
枯れ急ぐ葉が、視界を埋める
踏みにじる赤い葉
流れないイヤホンを外さない
電柱を揺らす、紫の鳥
街から秋が消えた
降ってきた白い朝
黒ずんだ部屋の窓
眩暈と耳鳴り
鼓膜を掻き回す、黄色
事故が散乱している
停滞する理解の語り
惰性による肌色のまじわり
真っ青な打算と利害
おざなりの説得
妥協を知らずにいる
欠けたマグカップ
薄汚れたチェックのマフラー
ベンチだけの公園
革靴とちぎれた茶色の縄
埋もれてしまう
赤い柿をくすねる浮浪者
緑を切り刻む刃
やがて桃色に変わる川
期限の切れた水
使われなくなった蛇口
透明な希望
不透明な不安
灰色の風が喉を貫いた
またうたわなくては
鈍色の空が、迫る
鈍色の空が
なにかが走っている
鳥が燃えている
枯れ葉すら動かない
世界はこんなに鮮やかなのに
今日はやけに
寒い
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