ダイアリー/itukamitaniji
 




そしてたくさんの時間が 流れていった
ある春の日 僕は白日に晒されて目を覚ますと
懐かしい君の顔が 僕を覗き込んでいた
変わらぬが しかし大人になった君の顔だった

ちゃんと残してあるよ 君と分け合った物語を
君は僕の体をなぞって 少しだけ微笑んでいた
最後のページ あの日君が書いた最後の物語
「10年後の私へ」 過去から届いた君への物語

君はほんの少し泣いて そしてまた微笑んだ





ありがとう
たくさんの物語をくれて
それは僕の物語になった
ずっとずっとしまっておくよ
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