百穴人/灰泥軽茶
私は穴ぼこだらけ
のそのそと歩きまわり
山の斜面にぼろぼろ突き出た粘土を掴んで
くにゃくにゃ捏ねて
ちぎって少しずつ穴ぼこを埋めていく
何だか安心する
舗装された山道沿いに捨てらた
まんまる何かの部品を当てはめてみると
あらぴったり
軽やかに発光する
私はなんだかとても気持ち良くなって
穴ぼこに詰めた粘土を漲る力いっぱい込めて
ぶひぶひと飛び散らして駆けまわる
けれども
息を切らして倒れる頃には
まんまる光る魂もぼそりと風化して
また穴ぼこだらけになって
のそのそと歩きだす
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