僕は灰色/智鶴
 
朝露に繋いだ透明な嘘が
霧に包まれ隠されて
始まった世界が僕を呑み込んで
君の姿も朧気だった

今日もまた産まれては
夕べのオレンジに抱かれて
懐かしさに似た悲劇さ

哀しさに包まれ、望んだ
君の後ろ姿、鈍色
其処ら中に転がった、裸足の
誰だったろうか、暖かい人の柔らかさ
太陽に殺されたオレンジの
雑踏に踏み潰され
僕は、まだ灰色だ

繰り返し望んだ筈の
虚ろな世界の過ち
美しい筈だった夜の死に様と
朝日が晒す
君のいなくなった僕の体温が
哀しいよ

懐かしさと君が包んだ
嘘と暖かさ、愛しい
鮮やかな世界に、抱かれて
僕は、まだ
有り触れた夜のこと、美しいね
暖かい街の中で僕は
君の腕に抱かれ、眠っても
僕は、まだ灰色だ

灰色だ
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