猫飯/まきしむ
 
猫飯

帰ってきたのは、夜が明ける頃
雲が右から左へ
流れてゆきます
とかげがしゅっと
石の裏へ隠れると
パンダがあくびをもらし
孔雀が羽を広げます
体を温めるため
やかんに水をいれ
火にかけました
脱ぎ忘れていたコートを掛け
ソファに座ると
目を閉じ
じっと追憶にふけります

   +

雨が降っていました
直に濡れると、けっこう冷たいです
服がはりついている
目の前でボルトが六角形を作り廻っていました
足元ではぐずぐずになった土が
歩を進めるたび
ぺっちょんぺっちょんと
あ、二葉が出ています
岩が曝されています
雲が流れていきます

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