持久走による世界の捕え直しのためのエスキース(習作)/N.K.
 
息が上がる
罰ゲームのように選手になった
中学の時の駅伝大会の思い出が甦る
襷は受け渡されていた
持久走は苦手だったが
途中で放り出すわけにはいかなかった

息が上がる
今日襷は受け渡されていた
持久走は得意ではなかった
娘の走りが重なって見えた

受け渡していた
二重らせん構造の襷やら
内面化されつつある
行動様式の襷やら
声援と共に
息の上がる冬の校庭で
コース脇のあちらこちらから

受け取っていた
紅白帽子の子どもたちは
一人ひとりのペースで
親たちを残して
傍らを走り抜けて行く

取り換えは
利かない現在から
否応なしに
襷を引き継いだ
一人ひとりの
未来へ


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