死者/HAL
二十歳前後までの人生の幸福とは
花びらのように可愛く
また、はかない
その一方、かけがえのない人を
失った悲しみは強く、また永し
花びらのような幸福は
花びらよりも早く散り
枯枝の悲しみだけが
永く永く残る
それが戦争というものでは
ないだろうか (17歳の少年兵の残した墓碑より)
死者はまだ生きているとぼくは言う
何を馬鹿なことをときみは聞き流す
死者は見えないが亡霊となって存在する
そのぼくの言葉をきみは嘲り嗤いの無視
もうぼくはきみに伝えたいとは想わない
死者はずっと視ているのだ
自分たちが護ろうとしたこどもた
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