世界に絆された朝/綾野蒼希
 
世界に絆された朝
ぼくは新しい季節を病んで
この際 庭をつくろう と思った

夕闇に隠れるのはいつも
小さく白いものでなくてはいけない
遮光カーテンに締められる心地よさ
あるいは 安寧!
ただそれだけを望むことで
死のかたちはうんとやわらかく
受け入れやすく
ああ 決してこの肉体を幽閉しないように

ぼくは今 ここにある事柄を一つひとつ
いつか腐葉土のそれに返さなければ
貢献しなければ――

やみくもに走ること
堅牢な扉の外側へ放たれること
もう数えきれないほどの
「波間」にもたれかかっているのだ
ぼくは だから 遠く近く
汀に眠る人たちを眺めつづけてい
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