追慕とサルベージ/村正
 
泥のような感情を

いつまで押しつける

彼女の中に

何を残せたのか

それを知ってどうする

いつかのやりとりの中で

ギリギリで生きていた俺も

自分で手にかけてしまう





幸せになれるなら

去る覚悟だったはず

理性に振り回されていた

俺の確信は遅かった

間に合わなかった

安心していた

もう感情は俺の手の中にない

忘れないように乾く





遠い日に別れを拒んだ君が

フラッシュバックして

確かだったと思い込む

そんな無様を羽織っている





お決まりの
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