追慕とサルベージ/村正
泥のような感情を
いつまで押しつける
彼女の中に
何を残せたのか
それを知ってどうする
いつかのやりとりの中で
ギリギリで生きていた俺も
自分で手にかけてしまう
*
幸せになれるなら
去る覚悟だったはず
理性に振り回されていた
俺の確信は遅かった
間に合わなかった
安心していた
もう感情は俺の手の中にない
忘れないように乾く
*
遠い日に別れを拒んだ君が
フラッシュバックして
確かだったと思い込む
そんな無様を羽織っている
*
お決まりの
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