無題/葉leaf
できたのですか、僕も過去の自分が生きていることを確かめたくて、しばしば想像を膨らませるのです、東京都板橋区の狭い路地を自転車でこいでいるときの自分、その水銀のような統覚と雨のような身体、記憶と想像の二つの長所にあいさつを重ねながら、過去に僕が生きていたことを確かめることで、現在の自分が居てもいいような気がするのです、過去がなかったら今の自分は不当です、悪です、過去があるから現在は正義なのです、さて未来を想像してみましょうか、未来に挨拶して握手して会話していつの間にか未来と入れ替わりましょうか、ところが未来は出入り禁止です、僕の城下町には入れません、なぜかというと希望という厄介な病気に罹っているから
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