祈り/加藤
 
クリスマス会が行われた
みんなまだ小学生だった
りんごすくいをして プレゼント交換をして ケーキを食べた
だけど一番覚えているのは会場の窓だ
吹雪で窓の外は真っ暗で何も見えなかったけど
その向こうには星降る世界があるんじゃないかと想像して
その向こうに行きたいと願った

お腹一杯になって疲きった帰り道
雪は降り続いて 私は空をずっと見ていた
図書室で読んだ昔話に出てくるさびしい景色を連想したら胸がぎゅっとした
手を握ると自分がここにいると感じる
向こうの世界に住む子も私を思ってくれているかな
どうすれば届くのかな
藍色の混ざる夜空を見ながら
みんなと足並みをそろえながら
一人だった気がした
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