一月の空?デッサン /前田ふむふむ
水路沿いにある病院を
服薬をもらって出た
六番目だった
先生は機械のように診察した
わたしは それにふさわしく
死人のように応えた
道路では
駅からくる通行人がまぶしくて
つい下を向いてしまう
気にすることはない
この頭痛があるときは
死んでいるのだから
たぶん見えていないだろう
いつもの
小さなガード下をくぐった
時間通りの快速電車が
奇声をあげて過ぎていった
鋭い金属音に
子供が泣きだしている
わたしは振り向かなかった
なぜか
急がなければならないとおもえた
すこし歩幅をひろげて
ほそい路地をぬけると
鼓動が激しくなっ
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