無口な手紙/wako
 
私達の間を
短い、短い手紙が
暗号の様な手紙が
いったい何往復した事だろう

   ひとつの文字の背後には
   何倍もの文字が群れなして
   文字にならない感情が
   行き場を失った言葉の大群引き連れて

稲妻の様に残像を残す文字が
読む行間さえない文字が
行間読めとかしこまる
逃げるように目を閉じると

   空白ではない空白が
   頬引きつらせて口ゆがめて
   射抜く視線で睨めつける
   これはただの空白か、と

私達の間を
短い、短い手紙が
暗号の様な手紙が
いったい何往復した事だろう

   触れると弾かれそうな文字を
   くり返し、くり返し
   する切れるまでなぞって
   文字は文字でなくなっていく

千の文字を連ねても
千の言葉を尽くしても
伝わらない想いが
無言でそこに
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