輪郭/三田九郎
吐く息が白くなった
あ と思う とたん 消えていく
僕のこの
行き場を持たないうごめきも
こんなもんなんだな
白々と夜が明ける
その前に街灯が消える
もう少しだけ
その願いが折られるとき
自分のうちに意志を見つける
群青の濃密な未明には
未知の人物とすれ違う刹那
警戒心でぞくぞくする
電車を待つ 駅のホームの一番前で
突き落とされる気がする あれと同じ
とりとめのない思案が
他人の侵入で霧消し
剥ぎ取られてしまうと
生存欲を
自分のうちに発見する
思う以上に
生きようとしているらしい
軟弱な自分の真ん中に
少しだけ輪郭を見た
確たるものがある気がして
夜は明けた
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