貴方がたに捧げる/黒髪
僕は貴方がたを幸せにしたかった
力が、力が欲しい
それでもって虚妄な現実に触れよう
高校マラソン大会
岸辺ぞいに駆ける
河口に流れ着けと
豊かな水流のことを思いながら
愛した
それは幻の愛
貴方はいつも明るい笑顔を見せた
山なみやコブを滑るスキーヤーを共に眺めて
貴方といっしょの山小屋に
その日もぽつりと灯りが点った
冬の寒さに負けずいっしょに遊ぼう
くもったガラス戸あとにして
イノセントな年齢
僕は青色のビニール手袋はめて雪いじり
心に軽いしもやけ残し吹き去ってしまった貴方
孤独のひっかき傷やらなにやら
重ねた年輪の分心は丈夫になった
もう暗い緞帳は下ろさない
闇にも怯えない
いつもくる不安に、全力を持って立ち向かおう
未来を明るくするのは力
閃光が僕の中を駆け巡り
僕はショックを受ける
貴方がたは何を考えていた
貴方がたの、心を見ようとしなかった僕
もう取り返しがつかないだろうけど
もしかしたらと
手紙等待っている
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