ホッチキスでとめただけの簡単な詩集、でもそれを君は本と呼んで/るるりら
 
がして
わたしは あれからというもの 心を栞みたいに薄くして
私の鱗が だれかの 心の底に触れることを 今日も祈る 

昔 わたしの詩のようなものを
わたしの代わりに手作りで装丁してくれた人がいた
それは とても美しい装丁だった
詩の本を出す人のことを詩人というのだよと 渡してくれた

たしかに その本にあったのは わたしの ことばたち
詩集を持っている人のことを詩人というならば
わたしも詩人になったかもしれないけれど
わたしは詩人になりたいんじゃない

わたしは あなたの心の中に 今も挟まれている ささやかな栞になりたい
私は あなたの心の中に 触れることがあるのかが しりたい 
あなたの心の みなぞこに ふれたい
わたしの鱗が あなたの深海に 翻る光がみたい


私は 目から鱗の瞬間を探す
私は わたしの逆鱗に耐える
ホッチキスでとめただけの簡単な詩集 わたしの言葉よ
ホッチキスを がしゃりと留めたなら

さあ 泳げ 




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