雨音/
灰泥軽茶
雨音で起きる朝
ひんやり冷たい水族館にひとりいる
水槽には何もいない
雨音だけが響いている
水槽に手をあてると飴細工のように
脆く崩れて
雨が横殴りのように降ってくる
外に出れば街は海の中
足元から雨が吹き出てきて
皆が傘に乗りながら浮いている
私は傘がないので仕方なく
少し浮きながらふわふわしていると
藍色の朝が沁みだしてきて
ぶぉおおおんと
バイクの音とともに目が覚めて
いつもより早い静かな朝を迎える
戻る
編
削
Point
(9)