気づき/木の若芽
「気づき」
木の若芽
きのうとはちがう今日が始まり
ああ 風がふく
きのうとはちがう風が
明るい空を吹き渡り
晴れやかな世界を吹き払う
風の音を聞いていたら
そのなかに飛び出していって
立ち向かったり 背中を押されたりしてみたくなった
なぶられきりもみしてみたくなった
風の大神みずからが吹かせる風になら
強い強い風のなかを
がんばりがんばり歩いてきた
ほっとして気づくと
なにかを風にさらわれてしまったよう
でもそのなにかがわからない
いたずらな強い風に飛ばされたのは
心かもしれない
夕方 やっと風がやみ静
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)