∫ポルターガイストd幽霊/鯉
チョークの粉を床に撒き散らして、線だと言った。冬だった。空襲の雲が押し寄せてくる。たまらない。教室はがらんどうで、さざめくのに姿が見えない。ただ音だけがそこにいるような、ジュークボックスのような、色は静謐だった。天井が低くなって、教師の声が聞こえる(気がする)。目だけ血走らせて、おれはじっと凝らしていた。おれは、テーラードジャケットの襟を握り締めて、頚動脈を圧迫する。迎え撃つために。誰を、かはわからないけれど。チャイムが鳴る。呪術師と葬礼のきっかけ。ここは廃校だった。おれは廃校を迎え撃つのだろうか。廃校を。靴を何度か見て、タップダンスのリズムを刻む。てんでばらばらだけど、おれはどうやらふるえてい
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