漂泊者によせて??巨浪/すみたに
ダムのサイレンが鳴った――
遠来の旅人はまさに無頼の男で、
己が生をあなたの扁桃体へ刻んでいった
――それは一つの警告だったのだろう。
思い出に鬱ぐあなたを召し迎えよう、
と、腕を廻し込み、攫いとろうとした
その激流を覗き、俺は言葉を喪う
――おお、飛沫は燦々と輝いた!
もう眠ることもできないだろう
――身悶えし、発酵したあなたは毎夜
吐息にさえ触れたく近づだろう――
俺はこの巨浪が収まれと願った!
けれど瞳の暗い洞へと落ちたあなた、
瞼に銀貨被せて、俺は指を離せずいる。
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