きれいなひと/小鳥遊儚
 
夜に、バレエのおけいこから帰る道で、
もうすぐ家につくというとき、
住宅街の隅で、若草色のネグリジェを着た女の人が猫と喋っていた。
ふたりは向かい合って楽しそうで、とても、きれいだった。
車のライトに照らされて、そこだけがまぼろしで儚くて、
わたしは、たいせつなものを見たと思った。
あのひとに会いたくて、あのひとになりたくて、
まいにち猫をさがしている。
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