境界膜/empty
鏡像のように
ひびく睡蓮
あなたの瞼から
瞼へ
五時のサイレン
夢の瞼が剥がれ落ちる
記憶の海から疎外されて
現実に戻る
まだ
終わっていない
それを確認するだけでいい
歴史の終わった世界で
まだ終わっていない何かを捜している
どこか現実から剥離した
光景のなかで
プラタナス
卓球台
コカコーラの緑の瓶が
転がっている
夢はまだ生成している
手のひらから
あふれている
水のように
覚醒した意識のなかの濁り
とめどない退屈を
ひたすら受け流しているにすぎない身体
まだ分からない
有限と無限の
差異のない差異
コピーされた意識が
家の外を歩き出して
影のように
夕闇に翳る
木陰のなかへ消えた
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