そして蛾は生まれ/すみたに
布団はだけ
腹が冷え痛んだ早朝
トイレ行って
また布団はいり
左手伸ばしカーテン開く
ああ、
なんて晴れがましい空
まだ朝焼けなのに
はやくも
暗転するほどまばゆい世界
世界はここよりはやく廻ってる
時は、空は、より早くあかるく
それは誰に確かめなくとも
既にわたしが知っている事実
その晴れがましい空に
ふたつの繭玉のような純白の雲
ぷかぷか小刻みに揺れ
ほのかに桃色に染まっている――
ふたつの繭玉のような雲は
糸を引かれ
引かれるようのび
解かれて穴をなし、
わたしはそこに大きな
流れをみる――
まわり
突きぬけ
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