言葉を放つ/灰泥軽茶
 
同じ言葉でも

私が放つ言葉と

あなたが放つ言葉は違う

私が放つ言葉でも

時と場所でとても違う

しかし言葉は私に

それぞれ違う形や色を見せながら

少しずつゆっくりと

丸いボールのような私の心に

ヒタヒタとたまっていき

ひとつの魂を形どっていく

時にはただとおりすぎ

蒸発して雲になって雨粒ひとつ

ひゅうっと落ちてきて

私の頬を打ったとき

初めてわかる言葉や

時には放たれないままずうっと

静かな光を帯びて眠っている言葉もある

だから私は言葉を放ち

時には歌い

時にはずうっと念じて

言葉の感触を楽しむ











戻る   Point(7)