穴惑/ゆえづ
 
霧立ちこめる夢路によろめきながら
わたしたちが探しているのは
誰かに伝えたいそれだけのいろ
すでに言葉だけが空寒く
あなたは秋の果実を潰して歌う
寝息の先ゆめまた夢そこから
煮え立つ内奥の膿だまり
その暗いぬるみの中へ立ち上ぼる赤が
ひらりとめくれあがればかたかた虚構の歯が笑う
あしたわたしゆめまぼろし
景色をただぼんやりと眺めている
ゴミ山の上で突っ伏したきり
一等すえたそこで白骨と化すこればかりが
わたしの現実であり愛の姿と知らないままで
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