手のひら/
灰泥軽茶
山が色づき始めた
少し
ゆっくりと歩きながら
両手
手のひらを軽く閉じると
生命の鼓動
どんぐりがひとつずつあるようだ
丸くて暖かい
するとちくりちくり
芽があっというまに
私の身体中に根を伸ばし
躍動する
わぁああと両手をひろげると
小さな折り紙でできた
トンボがたくさんたくさん
山に向かって
音を吸い込むように水平に飛んでいった
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