少年の時間/夏美かをる
 
君とは砂場で出会った
人見知りの激しかった僕が どんなきっかけで
初対面の君と口を利くようになったのかは
よく覚えていないけれど
とにかく君と 日が暮れるまでそこで遊んだ

別れる時に約束した
「明日も又ここで会おうね」って
そして 迫る闇と競争するように
僕らは反対の方向に走り出した
お互いの名前を聞くことさえ忘れて

次の日 僕は突然熱を出した
どうしても砂場に行けなかった
天井のしみをひたすら見つめながら
ずっと君のことだけを考え続けた

結局 熱が下がったのは三日後だった 
その日学校が終わると 僕は
一目散に砂場に行って
君が来るのを待
[次のページ]
戻る   Point(15)