サーカス/結城 希
残る十三の兵は尚も道化を取り囲む
円陣は次第に縮小し
道化は行き場を失う
兵たちが一斉に槍を突き出し
道化の躰に十三の穴が穿たれる
――直後に その虚像は掻き消えた
旋律が閃く
舞台を彩る光条を縫って
人影が兵士を打ち伏せる
道化が闇空を舞っていた
天上から下りる紐帯を操り
宙を駆けながら 兵たちを圧倒した
音色が凪ぐ
演目は終焉を迎え
道化は柔らかく地面に降り立つ
道化の仮面を外した
まだあどけない顔立ちの少女が
満面の笑みを浮かべていた
そして 喝采が湧く
戻る 編 削 Point(2)