傘のない夜に/
三田九郎
い
自然が
言葉なくある
語られないこと
書かれないこと
のうちに
人間がある
傘がないと
雨に濡れる
それがなんだっていうんだ
君と僕が語らうとき
僕らは言葉ではなく
そのときそこにあることで
愛し合っている
沈黙
その無言のときが
僕らを引き寄せ
僕らを抱く
手を握った
傘のない夜に
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