『彼女の朝』/川村 透
--おはようございます。
彼女は朝のことばを話す
僕は夜の体で受け止める
--僕たちはいつも、たとえばテーブルクロスについて、とか
あるいは縞模様のパジャマやタオルケットや
ベッドにまとわりつくこまごまとした白いものを触りながら
たとえばあのテーブルクロスについて、とか、テーブルクロスについて
とか。
彼女は朝の、涙を流す
僕は夜の汗にまみれる
--彼女はうつむいて僕は背を向けてこどもたちはまだ朝早く
あるいは夜おそくて眠っていて、僕たちは早くから、あるいは
こんなに遅くてもまだ、起きていて、起きていて、起きていて
眠らないで話す眠れ
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