やさしいきつね/千波 一也
 


なにかが見えなくなりそうで
やさしいきつねは
雨をきらう

なにかが聞こえはしないか、と
やさしいきつねは
雨をしたう

その
ときどきの気持ちにまけて
やさしいきつねは
雨をいろどる

今夜のねどこと
ごちそうをうたいながら
やさしいきつねは
雨をみる







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